TONY COX / Unpublished

Unpublished
(2009/Tony Cox/UK)
　イギリスはロンドンをベースに活動するパワーポップ系作曲家、トニー・コックスのデビュー・アルバム。ボーカルは友人のナイジェル・クラークが担い、トニー本人はコンポーザー＆インストゥルメンタリストとして関わっている。「未出版」と題されたこの作品は、彼の音楽家としてのキャリアの名刺代わりの一枚となるだろう。
　録音はイギリスのハイジャック・スタジオで、マスタリングはＮＹのミュージック・ハウス・マスタリングで行われた。トニーは全曲の作詩曲とギター（リズム／リード／ベース）とキーボードを、ナイジェル・クラークが全てのボーカル（と一部のリード・ギターを）、ダレン・フィンランがドラムを担当している。ちなみに名前に聞き覚えがあるかもですが、ナイジェル・クラークは元ドッジーのリード・シンガーの彼ですよ！
　ビートルズ、ビーチ・ボーイズ、ジェリーフィッシュなどにインフルエンスされたであろう60年代クラシカル・ポップ・マナーに則ったソングライティングと、打ち込みを交えた80年代的なアレンジの絶妙なブレンドが素晴らしい。もちろんビック・スターやラスベリーズなどを思わせるパワーポップ・フィーリングもある。そして、忘れてはならないのが、時折見え隠れする70年代のＳＳＷ群にあった空気感だろう。
　ＡＭラジオ・フレンドリー・ポップといおうか、ジューク・ボックス・ポップといおうか、驚異のクオリティと強度を誇る全11曲。様々なスタイルのポップの宝石がひしめくジュエル・ボックスのよう。今後の活躍が期待されるソングライターの誕生だ。文句なし大スイセン！　今年のベスト・リリースの１枚なのは間違いない。激マスト！
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