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DOLOUR / The Years In The Wilderness

Years In The Wilderness

Years In The Wilderness

 シアトル出身のSSWショーン・タトマークのユニットの 4th アルバムは、2枚のミニ・アルバムを2イン1にしたような形態の変則スタイル。これは2部構成ということらしい。音の印象としてはパワーポップ・サイドの "Storm & Street"(M-1〜9)に、ピュアポップ・サイド(ビーチボーイズブライアン・ウィルソン・テイスト)の "Hells On Highwater"(M-10〜19)といったところか。このアルバムの元となったセッションは、04年と05年にメンバーを変えそれぞれ一日のみで行われたという。タトマークはこのレコーディング・スタイルについて「マイルス・デイビスのレコード、特にビッチズ・ブリューにインスパイアされた」とインタビューで話している。ジャズ・レコードのようにライヴ録音で、ということだろう。しかし、たっぷり1年以上オーバーダブを費やしただけあってラフな感じはない。ライヴ・セッションの緊張感を閉じ込めつつも、繊細な音のランドスケープが繰り広げている。足かけ3年に渡って制作された本作は一種ロードムービーのようで、雑多な曲が並びつつもそこには不思議なほど整合感がある。「未開地での年月」というタイトルは、彼自身の完成までに至る試行錯誤や葛藤を思わせて興味深い。文句なしの傑作。