CHRIS BROWN / Now That You're Fed

(2006/Chris Brown/USA)

　クリス・ブラウンといっても、よく知られた黒人Ｒ＆Ｂ歌手ではなく、サン・フランシスコ出身の新進の白人のシンガーソングライターだ。美メロとハーモニーに彩られた素晴らしいジェントル・ポップを聴かせてくれる。例えるなら、ジョン・ブライオン、ジェイソン・フォークナーあたりの音楽性（というかグレイズ的と言ったらいいか）にジェリーフィッシュ風味を加味した感じか。つぶやく様な内省的なボーカル・スタイルはエリオット・スミス（声の印象としては彼に一番近い）、ジョシュ・ロウズ、クリス・カニンガム、カイル・ヴィンセント等を思い起こさせる。彼のオフィシャル・サイトのバイオを読むと、独立系映画の監督が本業のようで "Scared New World"(2006) という映画を製作し、各地の映画祭で賞を受賞している模様。へええ。天は才能を、ひとつといわずふたつも彼に与えたということか。本作は彼の音楽プロジェクトの第一弾とのこと。全12曲捨て曲なしの素晴らしさ。文句なくマスターピースと呼びうる逸品といえるだろう。共同プロデュースは元ジェリーフィッシュのベーシストにしてロジャー・マニングの実弟、クリス・マニング。