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SHOES / Present Tense, Tougue Twister (2 in 1)

 久々の本日の一枚。すいません、今回は手抜きです。Powerpop Academy blog2007年06月24日にぼくが寄稿したレビューの再録です。数時間前の SHOES の来日公演の興奮いまだ冷めやらず、ということでひとつ許して下さい。

Present Tense/Tongue Twister

Present Tense/Tongue Twister

 パワーポップを成立させる三要素を「ビート」「メロディ」「ハーモニー」とするならば、このバンドはやや「ビート」は弱めかもしれない。しかし、こと「メロディ」「ハーモニー」に関しては極上中の極上。パワポ界屈指の美メロKING・シューズのご紹介です。
 シューズはイリノイ州ジュオン出身の4人組。オランダにも同名のバンドがいるので要注意。ジョン(Vo, B)とジェフ(Vo, G)のマーフィー兄弟と、その幼なじみゲイリー・クリーブ(Vo,G)らを中心に70年代半ばに結成。この "Present Tense" と "Tougue Twister" は彼らのメジャー(エレクトラ)でのファーストとセカンドにあたる。
 派手なギターリフはほとんど存在せず、シンプルなコード進行のバッキング、ドラムも機械的に一定のリズムを刻むばかりでオカズは皆無に近い。ミニマリズムといって良さそうな反復。色がないぶん、甘いメロディとボーカルが際立つ仕掛け。そんな訳で、耳当たりがいいのでさらっと流れていってしまうが、1曲1曲の粒立ちはめちゃくちゃ良い。捨て曲なし。いい意味でも悪い意味でも金太郎飴状態。
 ボンプから出したシングル "Tomorrow Night" (M-1)、"Now And Then" (M-7)、後にDM3によってカバーされた "Too Late" (M-2)、"Cruel You" (M-10)、"I Don't Wanna Hear It" あたりのパワポ・チューンも勿論いいが、60年代の英国音楽への(あるいはバーズあたりのフォーク・ロックへの)憧憬を感じさせる"Your Very Eyes" (M-4)、"Every Girl" (M-8)、"Three Times" (M-11) などの美麗な曲群も捨てがたい。
 思わず "Present Tense" の感想ばかりに傾いたが、セカンド "Tougue Twister" もその延長線上で素晴らしい。時代もあってかシンセ・キーボードが入ったニューウェーブ的なアレンジも見受けられるが、「メロディ」「ハーモニー」の良さは相変わらず。ちょっとチープ・トリックぽいスタイルの曲もある。
 レジェンダリーな存在な彼らだが、実はいまだ現役のバンドで、10年ほど前にアルバムもリリース(ドラムでリック・メンクがゲスト参加!)している。現在はメジャーを離れ、自らのレーベル Black Vinyl Records を運営。メジャー時代の過去の音源もここから出している。(2007年6月24日記)