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POWERPOP / GUITARPOP / All about MELODIC ROCK

THE FAVORITES / Bright Nights, Bright Lights


(2008/The Favorites/USA)
 ジャケよし、音よし、名前よし。まぁ、ルックスはイマイチだけど。テキサス州ヒューストン出身の5人組の08年のデビューアルバム。これはかっこいいぞ。アッパーかつキャッチーで健やかなメロディはクリック・ファイヴみたいだし、キーボードの絡みがレンタルズを思わせて、個人的にヒジョーに好きな感じ。ヴォーカルの声質はどこかしらマシュー・スウィートを思わせる。
 彼らの結成は99年と古く、その時は違うバンド名を名乗っていたとのこと。デビューEP "Something Magical and Good" をリリースすると初回プレスはたちまち完売。ヒューストンのシーンでは、ボウリング・フォー・ソープやクレム・スナイドなどと比肩する注目に値するバンドとしてステージをシェアしていたというから、なかなかの人気だったのだろう。
 2002年に前身バンドは解散。メンバーを各々、教職についたり、イラクへ従軍したり、スポーツジムで職を得たり、スタジオ・エンジニアになったり、と別々の道を歩み始める。そんな紆余曲折を経て、05年にドラマーの Beji George が加入し、新しいEPのレコーディングに入る。そこで新しく THE FAVORITES としてバンドはリスタートした模様。
 途中の活動休止はあったものの10年近いバンド歴が示すとおり、その楽曲のクオリティ、バンドとしてのアンサンブルは、ポッと出の新人のそれではない。うた心に溢れた、ファウンテインズ・オブ・ウェインばりのポップ・チューンが全12曲、押し引きを絶妙に心得た、心憎いばかりの名曲の数々がズラリと並ぶ。以下、いくつかお気に入りの曲を紹介しよう。
 M-1 "Something That You're Missing" はレンタルズばりのムーグが入った、歌い出しからじわじわと盛り上がっていくタイプのアップリフティング・チューンだ。サビに向かってのカタルシスが素晴らしい。ファースト・シングルとなった M-3 "Hope in the Sky" はイントロから繰り返されるギターリフとシンセ・フレーズの印象が強いが、これも歌メロの強力さが特筆に値する。サビに来るとやっぱグッとくる。WOW WOW というスキャットのイントロから入る M-6 "Try, Try, Try" は特に好きなナンバーで、聴いていると気分がウキウキと高揚する。
 3曲だけ軽く触れたが、もちろん他の曲もいいですよ。自主リリース盤なので、一般にはなかなか流通していないのが申し訳ないですが、機会があればぜひ聴いてもらいたい1枚ですね。
Myspace|CD Baby