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FASTBALL / Little White Lies

Little White Lies (Dig)

Little White Lies (Dig)

 テキサスはオースティン出身の3人組の、5年ぶりとなる待望の 5th アルバムがリリース。これが期待を上回る素晴らしい出来で唸ってしまった。
 本作に触れる前に彼らの略歴を軽くおさらいしよう。FASTBALL はマイルス・ズニガ(Vo/G)、トニー・スキャルゾ(Vo/B)、ジョーイ・シャフィールド(Dr)の3人で94年に結成。もともと地元オースティンの BIG CAR というバンドで活動していた(その後 WILD WEEDS というバンドでも一緒に)マイルスとジョーイに、オレンジカウンティのバンド THE GOODS のトニーが加わる形で現在のラインナップとなる。
 ハリウッド・レコーズに見出され、96年 "Make Your Mama Proud" でデビュー。当初は現在のサウンドとは違いシンプルなパンク・ロックだった(これはこれでグリーンデイみたいで好き)が、98年のセカンド "All The Pain Money Can Buy" で大化け、飾り気のないアメリカンロック・サウンドに、絶妙のハーモニー、うた心溢れるメロディで、一気にパワーポップ・ファンの耳にも届くようになった。
 さて、ようやく本作の話に入ろう。ビートルズ・ライクなサウンド・メイクが素晴らしかった、最高傑作との誉れ高い前作 "Keep Your Wig On"(2004)の延長線上にある作品といえるだろう。うたの強度はさらに増し、マイルスとトニーという素晴らしいシンガー/ソングライターズの絶頂期といっていい仕事ぶりが堪能できる。
 今風のギミックとか、派手なところは決してない。地味に聴こえるかもしれない。しかし、良い音楽とはこういうものだ!という確信に満ちて鳴らされるサウンド&メロディの数々に、心地よく身を任せるだけだ。わずか40分ほどのディスクが回転する時間が、これほど豊潤なものであるというのはマジックとしか言いようがない。
 アルバム通して素晴らしいが、オススメをひとつ挙げるとすれば、本作のリード・ナンバーである M-1 "All I Was Looking For Was You" だろう。力強くて、思わず胸が熱くなり、グッとこみ上げてくる、じわじわとアップリフティングしていくメロディはホント最高。間違いなく彼らのキャリアの中でも屈指の名曲だ。
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